宮本常一『空からの民俗学』(岩波現代文庫、2001年)
日本の土地を改良し、日本の海を活用してきた人びとの歴史。
イカを追って遠くまで船出したり、そのままその土地に居着いてしまったりする人びと。農業を営みつつも、海の恵みを得るために海辺に住む。
この国の人びとはそのようにして数千年の月日を生きてきたのではないか。海や大地の恵みを育て、知恵をしぼって守りながら暮らしていく。
資源が尽きて、あるいはグローバル経済に取り残されて、しかし、そんな暮らしに戻るのだとしても、何も困ることはない。むしろそんな土地に生まれたことを感謝してもいいくらいではないか。